諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師の見解
次世代の若者たちは、日本という国を信頼できるか
平成7年には阪神・淡路大震災が発生。同じ年にオウム真理教の地下鉄サリン事件が起こり、足元の安全が壊れていく。そんな不穏な空気も、景気を冷え込ませる一因になったのではないか。
日本は1985年以降、世界最大の債権国となっている。それにもかかわらず国債発行額は毎年150兆円にも上っている。2019年度末には国の借金は1122兆円にもなる。何の新しい改革もなく、その場しのぎを続けてきたツケである。
世界三大投資家のジム・ロジャーズは近著のなかでこんなことを語っている。
「もし私が10歳の日本人だったとしたら、日本を離れて他国に移住することを考えるだろう。30年後、自分が40歳になった頃には、日本の借金はいま以上に膨れ上がって目も当てられない状況になっている。いったい誰が返すのか──国民以外、尻拭いをする者はない」
ジム・ロジャーズの予測が的中するとして、尻拭いをさせられる次世代の若者たちは、日本という国を信頼できるのだろうか。
10月には消費税が10%に上がる。平成元年に初めて導入された消費税は社会保障と少子化対策に充てるはずだった。だが、キャッシュレスで決済した消費者へのポイント還元や商品券発行などのおためごかしはあるものの、消費税増税後、この国をどんな国にしたいのか、まるで見えてこない。
ともあれ、いやがおうでも令和の時代が始まった。この先も、ツケを先送りしていくだけならば、空はたそがれを過ぎて、真っ暗闇になるだろう。
権力に忖度している暇があったら、日本が抱えている本当の問題に真剣に立ち向かうべきだろう。
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